2010年9月30日木曜日

デフレの原因はGoogle?

久々に「朝まで生テレビ」を見た。と言っても朝までではないのだが・・・
この番組を見るのは何年ぶりだろうか?記憶に無い位久々である。

もちろん「尖閣」の問題もあって興味本位で見た訳だが・・・
この番組が始まった当初は、他にこの手の企画の番組もなくちょこちょこ見て居たんだけど、知識人だか評論家だか知らないが、結局は自分の中の結論ありきでその為に自分の都合の良いデータやら論理だけを引っ張り出して来て自分が如何に正しいかを主張する。自分の主張を正当化する為の知識で武装するなんて下らな過ぎる。勿論反論する側も同様だから全く収拾が付かないし結論や発展的な議論になどなり様も無い。ファシリテータの能力の問題以前に、まあパネリストの選定というか、そもそもこんな連中に知識人とか評論家だなどと「称号」を与えてしまう世間がアホなのかも知れないと若いながらに思っていた。
まあ、真面目な討論番組では無く、バラエティと思って見ればまあこんなものかもしれないが。

さて、今回放送の「朝まで生テレビ」(9月24日(金)放送)のテーマは「日本を元気にする薬はあるのか?」で、「尖閣」に関しては急遽組まれたもので、経済が中心のテーマ。「尖閣」のパートはどうでも良かったのでスルーして、本題の「日本を元気にする薬はあるのか?」から・・・・しょっぱなは日本の企業はマーケティングが駄目見たいな話しが出て、とりとめもなく、次は「日銀はもっとお金を刷れ」とかそんな話しが出て・・・・・・・・・で、もうあまりの酷さ(いやむしろバラエティとしては抱腹絶倒か?)に、テレビを消してしまった。

ただ、最初に田原総一郎氏が切り出した「日本は円高でお金も強い。技術力も総じて高い。人材も他の国に比べれば優秀で良く働く。なのに何でこんなに酷いのか?」(←詳細発言に関してはうろ覚えなのでご容赦)という問い掛けは非常に良かった。この切り出しに対して、直球で回答できるパネリストは居なかった。なのでマーケティングがという超ミクロな話しから始まって日銀が・・・見たいなマクロの話しに話がブレまくって。。。。

小生が一言で言うなら、日本という国の構造(システム)が引き起こしている問題。と言う。

さて無知な小生が経済学の観点から現状を考えるのは難しいので、もっとミクロな日常から今のデフレを見て見たいと思う。デフレ下では言うまでも無く物の価値が下がっていく。物が高く売れないので給与が下がる。高い物が買えなくなるので・・・というのがデフレスパイラル。良く例えに出る牛丼。今では200円台で食べられる。ジーパンは1000円以下で買える様になった。(小生が学生の頃は安いのでも6800円位だった気がする・・・ちなみに昨日発表のサラリーマンの平均年収は407万で過去最低だそうだ)
例えば、1万円で売れて居た物が、1000円でしか売れなくなったら、そりゃ不況にもなる訳で・・・では、何で価格が下がるの?と言えば、安く作る(輸入する)事が可能になったから・・・同じ物が安く売られていたら、安い方を選ぶのは当然な訳で・・・・・おいおいおお前は小学生か?と言われそうな話しだが、高い物が買えなくなったから、安い物を買っている訳では無く、単純に見れば、国や企業が望む。望まないにせよ、新興国の発展、グローバル化などで、安く売る(作る)事が可能になってしまった訳だ。この議論はニワトリと卵では無く、明らかにこっちが先の話しだ。
何故なら当のユニクロも、ゼンショーも、ニトリもバンバン利益を上げている。対応できない企業が業績を悪化させてリストラに走っている訳だ。単純に円高や新興国の発展で製造の原価が下がっただけでは無い。今や日本の飲食店の店員の多くは外国人アルバイトだ。サービスの価格もグローバル化によって下がっている。

しかし、これは何も解り易い飲食、小売、製造の話しだけでは無い。サービスや娯楽を含めた、ありとあらゆる物の価値が下がっている事にちゃんと気付いているだろうか?よく「若者の○○離れ」という話しを耳にするが、これも一つの事象だろう。例えば、ここ10年で「プロ野球」の商品価値は激減してしまった。小生が社会人に成りたての頃(約20年前)は「プロ野球」は、ビジネスのコミュニケーション上の一つの嗜みでもあった。優勝チームを占うのは当然として、誰が首位打者を取りそうだとか、ホームラン王は誰だとか、職場や客先で1日1回はそういう話題があり、その会話についていけない事はかなりデメリットですらあった。それが今では地上波の中継すら無くなってしまうのだから驚く限りだ。これ程急激に価値が低下しているにも関わらず、選手や職員達の雇用と年俸を維持しようとすれば、球団経営は赤字になるに決まっている。
「車離れ」であれば、買うお金が無くなっているという説明も立たなくは無いが、「プロ野球」をテレビで見るのにお金が掛る訳では無い。(ちなみに昔の若者の多くは、お金が無い中無理なローンを組んで車に乗っていた・・・)

この例で見るならば森永卓郎氏の様なスウィート左翼が、雇用と、年俸を守れば景気が良くなるなんて言っているが如何に無茶苦茶であるか解って頂けるだろう(彼の場合は、解っていて商売として主張している可能性は否定できないが)。もちろんマーケティング云々の次元の話しでも無い。
「プロ野球」の例で見るならば「新興国の台頭」は関係ない。いわれる様に趣味の多様化(インターネット、携帯)かもしれない。もちろん「プロ野球」だけでは無い。プロ野球というキラーコンテンツの価値が下がった事は、スポーツ新聞の記事の価値を下げてしまった。ネットの普及は紙媒体の価値を下げたと同時に。知的生産物の価値もさげた。

・(情報の)媒体としての価値
・(情報の)希少性の価値
・(情報の)娯楽性の価値

ここ10年で価値が下がった物を列挙して見ると良い。「車」なんてまだマシな事に気付くだろう。
例えば・・・

・マス媒体の宣伝効果
・新聞、本、雑誌
・ソフトウェアなどの知的生産物
・コンサルタントのフレームワークやメソッド(笑)
・丁寧に商品説明をしてくれる店員の価値。
・卸売
・金融機関などの窓口業務
・アイドルの水着姿
etc

今までであれば、物の価値が下がるのは、技術革新によって生産技術が向上したり、代替えとなる技術が生まれる。普及段階で参入プレーヤが増えて価格競争が始まる。などが主因として語られてきたが、単純に「グローバル化によって人件費が安くなったから」では説明できない物も多くその価値が下げている。解り易い「情報」だけでは無い。映像技術とネットの発展は全く関係なさそうな「移動する事の価値」も下げる可能性が充分にある。車や電車、飛行機の運賃、旅行などの価値も下げてしまう可能性がある。
その多くはインターネット普及に伴う「情報のインフレ」がもたらしていると言える。またネット(IT)の発展がグローバル化を加速されたという側面もあるし、その逆も然りだ。
音楽家は元々パトロンからお金を貰って演奏を披露していた。音楽を奏でたり、聞く事が大衆化するとそれが興業になり、やがてレコードが開発されると、その情報をコピーして売る事でお金を得る事が出来る様になった。それがネット(IT)社会になり・・・ビジネスモデルというものは、当り前だが、社会環境の変化や、技術の発展により変化するものなのである。今は情報そのものの価値が下った為、情報をコピーして売る事の価値も低くなった。その変わりに、情報を共有する場を提供する者、情報を整理して欲しい情報に導く者の価値が上がった。
ちなみに小生は何も、一時期流行った「ネット進化論-ネットとは何であるか?」的な議論をしたい訳では無い。そんな議論は情報を伝えるデバイスという意味では「伝書鳩とは何であるか」を喧々諤々議論しているのと同じだ。

物の価値を下げているのは「新興国の発展」「グローバル化」だけでは無いのである。
「物自体の価値」(組み立てや加工の価値)と「情報の価値」この両方が複雑に絡み合い急激に下がりつつあり、今まで市場を支配してきた商品、サービスの価値を下げているのである。あらゆる産業はこの波から逃れる事は出来ない。
物作りが新興国にシフトしただけではない。既存の産業が持っていた価値をGoogle,Amazon,Appleなどがどんどん吸い取ってシフトしていると言えば解るだろうか。これは「代替え」ではない。まさにパラダイムシフトが世界規模、全分野で起きているのが今だ。既存分野の持続的なイノベーションでは対応できない。重要な事は「どうシフト」するか?だ。
出版社、広告代理店やレコード会社が苦しんでいる事を「リーマンショック」のせいだ。とだけ捉えるのは明らかに間違った見方だ。こう言い方をすれば誰もが解る事なのに、知識人(笑)とか政治家の連中は日銀のせいだとかで議論してしまうらしい。

今までの考え方の延長ではとても対応出来ない。発展を拒否しないのであれば、経営、国の在り方から変えなければならないのは自明だ。既存の産業保護だけに奔走しいればが衰退して行く流れは止めようもなく、小手先の金融政策ではどうしようもない。日本の強みはあらゆる面で無効化してきており、日本という国が作り出す付加価値の総和が下がっている(労働生産性)。

新しいパラダイムに併せて構造を変えるしかないのだ。にも関わらず、既得権益を守りたくって仕方のない連中が「構造改革は格差社会を生んだ。」などと根拠の無い情緒論で煽り、改革を拒否してばら撒きを煽った。例えるなら世の中の変わる現実が直視できない老人達(自分達の昔ながらの価値感を否定できない人)が見る人が少なくなってしまった「プロ野球」(既存の産業)を税金で保護して選手の高額年俸(正社員)を維持。それに選手も甘えて、皆で無理矢理今の構造を維持しようとして、新しい物にはお金が回らない。こんな姿が日本の現状だ。
(あくまでも例えで、プロ野球結構好きです。あまり見なくなりましたが)

これでは逆に格差が生まれるに決まっている。「既得権益層」と。「そうで無い者」との格差。
昔のこのブログで民主党が政権を取れば格差が広がると書いたのは、民主党の支持母体が既得権益層ばかりだからだ。

産業の新陳代謝を活性化させる為に、思いきった規制緩和。税制改革(消費税への移行)法人税の引下げ。人材の流動性確保(解雇の緩和)。ベンチャーの育成(直接支援する様な方法を取るとロクな事にならないので間接的に)。そしてなにより教育改革。ハッキリ言ってこれしか手はあるまい。(金融機関の暴走に歯止めを掛ける様な規制は必要だが)

伴う痛みはどうすんのかって?・・・・本当に公正なルールの元での格差なら不満は少ないだろうし、つい100年も遡れば日本人は食って行く為に、南米でも北米でも移住した。国内に居ても牛丼は300円出せばお釣りが来る。

ちなみに、「デフレ Google」でググったら・・・デフレの原因はGoogle的な記事は1個も無かった(笑)

P.S.
一部の人に小沢一郎待望論みたいなものがある。彼にはリーダーシップと志があり、その志を達するには権力が必要で、ある程度非常の手段(金集め)もあって然るべき。それをマスコミが極悪人の様に書き立てたから無知な大衆は・・・というものである。
特に根拠がある話しでも無いので都市伝説と一緒で「はぁ左様ですか。」としか言いようが無いのだが、個人的な見解を言わせて貰うなら、これはマザーズに上場した多くのインチキベンチャーの論理と一緒だ。「上場という目的を達成するには、粉飾も厭わない。」「顧客が満足しなくても良い。」・・・・本当に志のある人間は、こういう論理では絶対に動かない。断言できる。綺麗事を言っている訳では無い。確かに本当に志がある人間は、自分が泥をかぶる事を厭わない。泥をかぶるというのは秘書を差し出す様な行為では無い。全くの逆だ。こういう人間の思考は会社を大きくする事(権力を得る事)が絶対の目的で、理念も理想も後付けに過ぎない。小沢一郎からは過去に本があるだけで、日本をどう変えたいかのメッセージは何も無い。その政策の是非で評価するのでは無く、剛腕でリーダシップがありそう。志がありそう。とイメージで語るのもまた踊らされているだけという事では無いのかナ?