2009年9月10日木曜日

市場の破壊者は下からやって来る!

三菱がi-MiEVを発売、日産がLEAFを発表と、EV(電気自動車)が、次世代自動車として注目を集めている。
恐らく、EVの分野でリードしているのは日本だろう。
(中国やアメリカからブラフっぽい情報が飛んでくるが)

では、日本が今後も自動車産業で主役で有り続けられるか?
小生はかなり疑問視している。

ではEVに力を入れ復権を狙っているアメリカ、以前大きな力を持っているドイツ、檄安ナノを作ったインド、どこが、これからのこの産業をリードしていくのか?

小生は中国では無いかと思っている。中国の車といえば、パクリカーばかり作って品質の悪いイメージしか無い。少なくとも、内燃機関の自動車にしろ、EVにしろ、まだまだ日本車に追い付くのは時間が掛ると考える人が多い。確かにそうなのだ。それは間違いない。中国の自動車産業が技術を幾ら輸入した所で、自動車で日本企業が築いてきた競争優位性に追いつく事は難しい。日本企業は更に高い次元に行ってしまうのだから。

しかし、違う。そういう既定の枠に捉われて物事を考えると、大きく事を見誤る可能性がある。既定の自動車市場の枠で考えていると足元をすくわれる。

車はどんどん大きく、豪華になっていく。マーケットの声に応じて、より大きく、より燃費が良く、より快適で、より安全で、・・技術を磨き、今よりも付加価値を上げる・・・自動車に関わるプレーヤ全てが、その点を磨き競争をしている。
日本の、EVもその延長線にある。あくまで持続的イノベーションの範囲なのだ。即ちレコードプレーヤが、CDプレーヤに取って代わったのと一緒で、確かに重要な事ではあるが、この技術はウークマンでも、i-Podでも無い。
28万円カー、タタのナノが破壊的か?これは既定の技術をチープに焼きなおしたもので、ヒットするかもしれないが、破壊的とまでは言えない。いわば数千円で売られていた簡易レコードプレーヤに近い。

では、何故、中国なのか?
今、中国では電動スクータが大人気らしい。小生はこの事を知って稲妻が走った。「これこそが破壊的では無いか!」予言的で、本当にそうかどうかは解らない。

電動スクーターは大きくは二種類あって、電気で動く自転車タイプと、電気で動くスクータータイプ。価格もエンジンで動くスクーターと殆ど変わらない。ガソリンスクーターのガソリン代が電気代で済むメリットは微々たるものだ。粗悪な中国製が世界でヒットするのか?

しかし、スクーターなので、バッテリーが小さく、取り外せて家で充電する事が出来る。社会インフラの充実を待つ必要は無い。オイル交換などの手間も掛らない。あの小うるさいエンジン音もない。
いざ、同じ価格で、ガソリンスクータと電動スクーターを並べられた時に貴方はどちらを選択するのか?
幾ら日本企業が高性能なガソリンスクーターを作った所で勝負は見えているのではないか?
日本企業ではヤマハが2002年に電動スクーターを発売しているが、あくまで試験的であり、しかもバッテリートラブルで販売中止となっており、本気で電動スクーターを販売している企業は無い。

中国の電動スクーター市場は今年は3000万台近い数字が予想されている。既に3000万台のEV(電動スクーターだってElectric Vehicleだ)が、便利に生活や企業の道具として動いている事実に驚かざる負えない。
正直、電動スクータなんて大した技術では無い。おそらく部品さえそろえば小生でも組み立てられてしまう。
しかし逆に言えば、単純で部品点数も少ない電動スクーターはバッテリーの価格さえ下がれば、エンジンスクーターの半値で販売する事だって可能になってくるだろう。これだけ普及してくれば、どんどん量産効果が得られ、間違い無くコストは下がっていく。そうなれば他の新興国でも大いに普及する。
幾ら日本が高機能な電気自動車を追求した所で、新興国での普及には相当な時間が掛る。

例えば三万円の電動スクーターが出ればどうなるのか?これが何を意味するのか。自転車とも競合してくる価格だ。
日本でも、自転車通勤が流行っている。自動車通勤や満員電車を回避する事が目的だ。但し10キロ以上になってしまうと運動などの目的が無いと正直辛いのが現実だろう。
ママさん達が子供を前後に乗せる事で問題視された3人乗り自転車の事も、少なくともママさん達の労力という点では、解決してくれる可能性が高い。

実際、自転車型の電動スクーターが部分的に大阪で流行って、警察は慌てて取り締まりを強化に乗り出した。
(フル電動だと原付扱い)

しかし普及が進めば、必然的に新しい時代にあった新しい法規制が出来て、店舗に駐車?駐輪?スペースが出来て、充電スタンドが置かれ、インフラが整う。(何故なら人はより便利さを求めるから)
(今の日本の様に無理繰り税金でインフラを整えて普及させようというアプローチには違和感を感じる)

普及が進めば、雨風をしのぐ工夫や、多人数乗車などの発展も進むだろう。そうなれば、今度は自動車がコンペチターになる。平日は使えず、土日のチョットしたドライブや買い物に、本当に3ナンバーの大排気量車が必要だろうか?200万のハイブリッドカーならいいのか?

そう、破壊的イノベーションは常に下位レイヤーから現れるのだ。ホンダの海外進出の足がかりを作ったのは、高性能バイクでは無く、安くて便利な「カブ」だった。「カブ」から高性能バイクや自動車に発展して、既存のメーカを追い出したのだ。

「電動スクーターこそ破壊的」さて、小生の予見は当たるのか?

ただし、勝利するのは電動スクーターメーカでは無い。電動スクーターメーカは単なる組み立て屋で、本当の勝利者は電池メーカだ。
中国には既に電気自動車を走らせ、リチウムイオン電池で世界3位のシェアを握る(と言われる)有名なBYDがある。リチウムイオン電池も、まだまだ日本企業の技術の方が勝っているって?

「でも、そんなの関係ね~♪」

BYDの電池を以て、数億台の電動スクータが動き出したらどうなる?ウォーレン・バフェットが同社に投資した意味。
よくよく考えて、本気で頭使わないとやられるよ。日本の自動車メーカは。

0 件のコメント: