2009年10月5日月曜日

で、結局課題って何?

たまには個人的な事でも書こうかな・・・

先週末あるクライアントの所で、現場のメンバーを集めてCPS(カスタマープランニングセッション)というワークショップを開催した。もともとはIBMが行っていた課題抽出の為のセッションで、それをサービスサイエンスで有名な諏訪良武さんがアレンジして体系的にまとめた手法である。

ブレーンストーミングの一種といって良いが、KJ法などとは異なり、連想ゲーム方式で課題を抽出していく為、抽出される課題数が非常に多く、網羅的に課題を浮かびあがらせる事が可能となる。
細かくは説明しないが、トヨタの「ナゼ5回」をワークショップ形式で、体系的、網羅的に行うセッションと言えばニュアンスは伝わるか?

今回は営業の現場(課長-担当クラス)メンバー15名を集めて2日間で約230個の課題を抽出した。
コンサルに入る際にはFaceToFaceのインタビューの形式も確かに重要だが、ここまで体系的、網羅的に課題を集める事は時間の制約もあり難しく、この様なセッションを行う事で現場の課題意識ほぼ全て洗い出して認識する事ができ非常に有効である。
しかし、全く欠点が無い訳では無い。あえて「課題意識」と表現した様に、逆に現場がある事象に対して、その事象を「課題」だと感じている事自体が「課題」であるケースがある。
また、今回は営業部門を対象としたセッションであったが、当然、自部門には甘く、他部門には厳しい内容になりがちでもある。
営業部門であれば、大抵、製造や開発、間接部門のやり方を「課題」と表現するし、逆に「開発」や「製造」部門でセッションをやれば「営業」が「課題」を引き起こしていると表現するだろう。

これは、殆どの企業で起こる「問題」である。
しかし引き出された「課題」を、そのまま鵜呑みにして表面的な解決を計ろうとしても、殆ど成果は生まない。
あくまで「現場の課題」を引き起こしているシステムの課題にメスを入れなくてはならない。
即ち「組織」の問題だ。

現場の課題だから、役員レベルなら解決できる問題という訳でも無い。どこかの国の官僚機構の様に、各機能組織の長は、自分の組織の最大の利益代弁者であるからだ。
CPSの様なセッションを各部門で実施すると、今以上に部門間の対立を引き起こしてしまう危険性がある。(もちろん各部門間で、課題意識が共有され解決に向かう面もある。)

我々にしてみれば、CPSを実施した後こそが本当に大変なのである。
本気で改革を進めようとすれば、部門の役員レベルとは利益が相反してしまう可能性が高い。
この点において、コンサルタントは残念ながら「政治性」を発揮する必要とされる。
真正面から、「本質的な課題」に向き合おうとすれば、いきなり梯子を外される自体になりかねない。
殆どの場合は「社長」と密に連携して進めていく必要性があるのだが、もちろん外部の人間と、今までずっと一緒に事業を推進してきた役員とで、どちらが信頼されるかは考えるまでもない。

改革のキーマンは間違い無く社長だが、現場や役員クラスにも、理解者、支援者をしっかり付けておく必要がある。
この事において重要なポイントは、政治性は必要だが人事には染まらない事だ。
社長の信任を得ると、どうしても具体的な人事に触れたくなるし、相談も受ける。

確かにあの役員では・・・とか、あの部長では・・・という個人の資質に寄って引き起こされている課題も多く、異動、更迭によって解決する可能性も高いのだが、その点には決して手を出さない。
人事は権力そのもので、権力は密の味だ一度覚えてしまうと必ず溺れる。部外者であるコンサルタントがこの密の味を覚えてしまうと、現場はとんでも無い事になってしまう。

あくまで問題を引き起こしている本質的な原因に向きっあっていく。それは人の問題では無く、人が問題を引き起こす様に仕組まれているシステムの問題。

つくづく因果なショーバイだと思う。てめぇのおまんま食うだけでも必死なのに、他人の為に眠れない日々を過ごす。投げ出したくる気持ち、手を抜きたくなる気持ち、目先の売上に走りたくなる気持ちと、どこまで戦えるのか?がいつも問われる。

ところで、課題を抽出するセッションなのに、何故カスタマープランニングセッションなのか?
簡単な話だ。「問題は目標と現状とのギャップ」という様に、全ての課題は、顧客により良いサービスを提供し、利益を生む為に解決されるべきなのだ。そして顧客と向き合っているのは現場だ。現場こそ真実の瞬間だ。
現場に迎合するのでは無い。顧客により良いサービスを提供する為に現場をもっと(気持ちよく、前向きに)働かせる。

企業のシステムというのは、唯一その為に最適化されたものであるべきなのだ。

しかし、企業のシステムは時間が経つと、いつのまにか無駄を生み、壁を作り、社内で敵対し、政治がはびこる・・・誰もおかしいと解っていながら何もできなくなる。飲み屋で愚痴を言って発散する。表面的な課題は一杯あるので会議が増える。結論のでない小田原評定を繰り返す。しかし解決しない。顧客の目を見ないクズ組織が生まれる。
これが「茹でガエル」である。



「茹でガエル」は自分では気づかない・・・・・



だからこそ我々が存在するのさ!
絶対に良くして見せるさ!頑張ろう!

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