2009年4月24日金曜日

クビ切りという麻薬

連日取り上げられる、派遣切り、内定取り消し、大企業のリストラのニュース。マスコミが取り上げるのは本当にごく一部の事例でしかない。
新聞に取り上げられる様な大企業でないところでは、労基?なにそれ?といった感覚で社員のクビを切っている会社が多くあるのが実態だ。大企業は世間の目があるので、退職金を積み増したり、再就職先を斡旋したりするのでまだマシな方だ。しかし、こういう企業ではそんな事は全くのお構いなしだ。まさにリストラなんていうカッコの良い言葉では無く「クビ切り」だ。

小生は、もっともっと労働は自由化すべきで今の労働基準法が良いとはちっとも思わない。(もちろん法令順守は本来絶対条件であるべきで法令順守を否定するものではない。)
経営者は不景気で売上が減り、雇用を守っていれば会社自体が潰れてしまう。そうなれば全従業員が職を失う。多少の犠牲は仕方がない。「今回は100年に一度の不況、責められる云われはない。」と考えるのは確かに一理ある。

しかし、具体的に小生の知っている企業でも「本当にそれで危機を脱せれるの?」と思うやり方でクビ切りをやっている企業が多く存在する。例えば100人規模の会社の経営者が「もっとも無能」と思う10人のクビを切る。年間で1億円近い人件費が削減され、赤字から利益が出る様になったとしよう。経営者は一先ず利益体質にしたのだから景気が回復したらまた徐々に人を増やせば良いと考える。
しかし、如何に経営者が「無能」と思っていたとしても10人が生み出していた価値提供能力は少なからず減る。この状態で景気が更に悪化したらどうなるだろうか?
この場合この経営者は「次に無能な10人」をリストアップしてクビを切るだろう。。。。

経営者と言うものは本来500万円で人を雇い入れた場合。500万の原価から如何に付加価値を生み出すか考えなければ行けない。500万円の社員がどう動けば、数百万、数千万、数億の利益が生み出されるかを常に考えマネジメントしなくてはならない。
(ニンテンドーは社員一人あたり1億6千万円の利益だそうだ!)
マネジメントがしっかりと出来ていない企業。なんと無く忙しくて人が足りない。好景気で伸びそうだから人を取っておこう。レベルで採用をしていた企業程、クビ切りに走る。
こういう企業の経営者は不景気を言い訳に10人のクビを切って1億のコスト削減を考えるが、不景気を前提に、その10人を活かして1億の利益を出す事は考えられないのだ。

新卒、中途を問わず、社員を増やした場合、多大なコストを発生させる。採用コスト、教育コスト、最初の半年~1年は戦力にはならなず給与だけは支払うという状態だ。もちろん先輩社員達のOJTの時間もコストだ。
これらのコストに対して本来は相応なリターンを得なければいけない訳だが、「無能な10人」が居るという事は、その経営者は、ただただ、そのコストを垂れ流してきた事の証明を自らしてしまっているのだ。

これは、従業員側から見れば、有能な社員であればある程、その「クビ切り経営者」が如何に無能かを改めて知るという事なのだ。
小生の知る限りこの現象は事実多くの企業で発生している。もっとも無能な10人のクビを切った会社が、もっとも優秀な10人も失う。という現象だ。

繰り返そう
「無能な社員が会社に居るという事は、経営者が如何に無能かの証明である」ニンテンドーの社員は超絶に有能で、その会社の社員は超絶に無能。
↑そんな訳ね~だろ普通に!

残された80人は、他に行き場所の無い人畜無害のそこそこ社員な訳だが、その社員達の士気は殆どゼロ。当然売上はさらに減少し、顧客満足も下がる。無能な経営者は一度味を占めた、クビ切りをまた行って利益を出す・・・・そして廃人、いや、廃企業となるだ。

小生が少し覗いて見ると、まだまだ明日への「打ち手」が山の様にあるケースが殆ど。

こういう企業の経営者で「批判は承知の上で、私が悪者になり矢面に立ち勇気ある決断で他の人の雇用を守った」「泣いて馬謖を斬る」などと悲劇のヒーロー、ヒロイン気分で悦に入っている人すらいる。
本当に「馬鹿丸出し」状態。多少アドバイスした所で、「何を青臭い事言いやがる。お前に俺の気持ちが解るかっ!」となるのがおち(笑)。小生は心の中で「あなたの方がよっぽど青臭い」なんだが・・・その事は心の中と、このブログのみに留めておこう。

経営者の今日の仕事は将来への投資を行う事だ!!
一度だけ、だと「クビ切り」という麻薬に手を染め、現実逃避の利益を出しても、その先にあるのは転落だけで、決して元には戻れない事を覚悟した方が良い。

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